【必読】なぜ今、Aura ではなく LWR を選ぶべきなのか?

Aura vs LWR 徹底比較:Spring ’26 で加速する脱レガシーと Experience Delivery の衝撃

この記事はバージョン Spring ’26 において執筆しています。
現在の動作と異なる場合がありますので、ご認識おきください。

Salesforceエコシステムにおいて、長らく議論されてきた「Aura vs LWR」のテーマですが、Spring ’26リリースを目前に控え、その結論はもはや決定的なものとなりました。

多くの企業において、フレームワークの移行は単なるバージョンアップやUIの刷新として捉えられがちです。しかし、その本質は「体験デリバリーアーキテクチャの根本的な再設計」にあります。特に、Spring ’26で強調されている「Agentic Enterprise(エージェンティック・エンタープライズ)」への加速や、生成AIによる検索最適化(Generative Engine Optimization: GEO)の文脈において、従来のAuraアーキテクチャは明確なボトルネックとなりつつあります。

本記事では、技術責任者およびアーキテクトの皆様に向けて、Salesforce公式の技術仕様と、実際の移行プロジェクトにおける観測データを交えた「移行の判断材料」をお届けします。

公式見解:アーキテクチャの決定的な違い

AuraとLWRのパフォーマンス差は、表面的な実装の違いではなく、フレームワークの設計思想に起因します。Salesforce公式の開発者ガイドおよびエンジニアリングブログでは、以下の構造的相違点が明示されています。

Aura:独自の抽象化レイヤーによるオーバーヘッド

Auraは、Web標準が未成熟だった2013年当時に設計されたフレームワークです。ブラウザ間の差異を吸収するために独自の抽象化レイヤーを持っており、これがパフォーマンス上のコストとなっています。公式ドキュメントでは、Auraと比較して LWCはWeb標準に基づきブラウザネイティブで動作するため、「軽量であり、並外れたパフォーマンスを提供する」 と明記されています。1
この構造的な違いは、特にリソースが限られた環境でのロード時間に影響を与えます。

LWR:Web標準(Native)への回帰

対照的に、LWR(Lightning Web Runtime)は「ブラウザのネイティブ機能を活用する」思想に基づいています。LWR上で動作するLWCは、Shadow DOMなどのネイティブブラウザ機能を直接活用します。公式ブログによれば、これにより実行レイヤーやフレームワークへの依存(オーバーヘッド)が低減され、スクリプト実行速度とレンダリング効率が向上すると説明されています。2 3

参考事例:移行プロジェクトにおける実測データ

では、このアーキテクチャの違いは実務においてどのような数値差として現れるのでしょうか。 Salesforce公式は特定のパフォーマンス数値を保証していませんが、B2B Commerce環境におけるコミュニティの移行事例では、以下の劇的な改善が報告されています。これらは、移行を検討する上での重要な参考値となるはずです。

  • 初期ロード時間:66%短縮の事例 ある移行プロジェクトでは、Aura環境での3.2秒から、LWR環境では1.1秒へと短縮されました。4 これは、Webパフォーマンスにおける「3秒の壁」をクリアし、ユーザー離脱を防ぐための決定的な改善です。
  • メモリ消費量:40%削減の事例 LWRはブラウザのメモリ管理機構を効率的に利用するため、クライアントサイドでのメモリ使用量が約40%削減されたケースも報告されています。5
DXforce Point

※上記は特定の環境における実測値であり、すべての組織での再現性を保証するものではありません。

Experience DeliveryとSSR:Spring ’26がもたらすパラダイムシフト

標準的なLWRへの移行だけでも上記のようなメリットがありますが、Spring ’26で強化される「Experience Delivery」は、パフォーマンスを別次元へ引き上げます。これはAuraでは技術的に利用不可能な、LWR専用の特権です。

サーバーサイドレンダリング (SSR) の導入

Experience Deliveryは、計算処理をサーバー側に移行し、生成されたページをCDNにキャッシュすることでSSRを実現します。 公式ガイドでは、これによりブラウザがJavaScriptのダウンロードと実行を待つ必要がなくなり、コンテンツへの到達時間が短縮される(faster time-to-content)と説明しています。6

Islands Architecture(アイランドアーキテクチャ)

さらに注目すべきは「Islands Architecture」の採用です。ページ全体をJavaScriptで制御するのではなく、インタラクティブ性が必要な特定のコンポーネント(カートボタンやフォームなど)のみを「島」として扱います。 公式ガイドによれば、これによりJavaScriptの実行が不要な静的HTML領域が最大化され、パフォーマンスが最適化されます。7

AI時代のSEO:Generative Engine Optimization (GEO)

2026年のWebサイトにおいて、「AIにいかに見つけてもらうか」は最重要課題の一つです。

Experience DeliveryによるSSRは、検索エンジンのクローラーやAIボットに対して、JavaScriptを実行せずとも解析可能な「完全なHTML」を提供します。公式ガイドでも言及されている通り、これにより検索エンジンのクローラーによるアクセシビリティが向上し、SEOが改善されます。8 これは、Auraアーキテクチャでは実現困難なLWR独自の強みです。

結論:技術的負債からの脱却

公式のアーキテクチャ仕様と、コミュニティでの成功事例は、一つの結論を示しています。Auraはレガシーであり、現代のWeb標準やAIの要求に応えることは困難です。

Spring ’26におけるExperience Deliveryのベータ提供は、Salesforceのイノベーションが完全にLWRへシフトしたことを決定づけています。今こそ、LWRへの移行ロードマップを策定すべき時です。

参考URL

LWC or Aura? (How to Choose) (Salesforce Developer Guide) – 公式ドキュメントによるアーキテクチャ比較

Lightning Web Components Performance Best Practices (Salesforce Developers Blog) – パフォーマンスに関する公式見解

Migrating Salesforce B2B Commerce Cloud from Aura to LWR: A Real-World Scenario (Medium, 2025) – コミュニティにおける移行実測事例

Salesforce Official: Experience Delivery (Beta) Guide & Spring ’26 Release Notes (Provided PDF) – SSRおよびIslands Architectureの仕様

脚注

  1. Lightning Web Components is built on web standards… Because it’s built on code that runs natively in browsers, Lightning Web Components is lightweight and delivers exceptional performance. [LWC or Aura? (How to Choose)] ↩︎
  2. LWC uses native browser features like Shadow DOM and Custom Elements. [Lightning Web Components Performance Best Practices] ↩︎
  3. This reduces execution layers, redundant processing, and framework dependency. [Lightning Web Components Performance Best Practices] ↩︎
  4. Initial Load Time: Reduced from 3.2s to 1.1s (66% improvement) [Migrating Salesforce B2B Commerce Cloud from Aura to LWR: A Real-World Scenario (Medium, 2025)] ↩︎
  5. Memory Usage: 40% reduction in browser memory consumption [Migrating Salesforce B2B Commerce Cloud from Aura to LWR: A Real-World Scenario (Medium, 2025)] ↩︎
  6. With SSR, the browser doesn’t need to wait for all the JavaScript to download and execute before displaying component markup. Instead, computation is moved to the server, and the resulting page is cached in the CDN for subsequent visitors. This approach results in faster time-to-content, […] [Experience Delivery p.9] ↩︎
  7. Islands Architecture and Component Hydration […] identifies the interactive components (islands) on the page, […] The rest of the page is static HTML, which doesn’t require JavaScript execution. [Experience Delivery p.9] ↩︎
  8. […] and it makes the content accessible to search engine crawlers, which improves SEO. [Experience Delivery p.9] ↩︎

DXforceの管理人

福島 瑛二

2013年にJavaエンジニアとしてのキャリアをスタート。2019年にSalesforceと出会い、Salesforceエンジニアの道へ。

デザインや UI/UX の観点からもシステムを捉え、ユーザーにとって心地よい体験を実装することにやりがいを感じています。

CRM(顧客データ)や Data Cloud と連携した高度なサイトを目に見える形で表現できる Experience Cloud に大きな可能性を見出しており、バックエンドのデータ構造とフロントエンドの表現力を極めることがこれからの Salesforce エンジニアに求められるスキルだと確信しています。

Trailblazer: efukushima

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