【必読】なぜ今、Aura ではなく LWR を選ぶべきなのか?

【Salesforce Spring ’26】LWRサイトが「Agentic Web」の主役へ — GEO対応と16種の標準コンポーネント追加など主要アップデート完全解説

この記事はSalesforce Spring ’26プレビュー段階において執筆しています。
正確な情報はリリースについて発表する最新の正式発表をご覧ください。

はじめに:LWRサイトは「AIファースト」のステージへ

Salesforce Spring ’26リリースは、Experience Cloud、特にLightning Web Runtime (LWR) サイトにとって極めて重要な転換点となります。これまでのパフォーマンス改善やモバイル対応といった枠を超え、「AIファースト」かつ「Agentic Enterprise(自律型企業)」のためのフロントエンドとして、LWRの役割が再定義されました 。

従来の人間(ユーザー)対 Webサイトのやり取りに加え、AIエージェントや検索エンジンがサイトの情報を「読み取り、解釈する」能力が問われる時代—「Agentic Web」の到来です。本記事では、Spring ’26でLWRサイトに実装される主要なアップデートを、DXforceの視点で技術的に深掘りします。

Generative Engine Optimization (GEO):SEOからGEOへの進化

最も象徴的なアップデートが、Generative Engine Optimization (GEO) の導入です。

機能の概要

GEOは、従来のキーワードベースのSEO(検索エンジン最適化)を、生成AI時代の検索体験に合わせて進化させたものです。Experience Builderの設定でGEOを有効化することで、ChatGPTやPerplexity、Google AI OverviewsといったAIボットがサイト内のコンテンツをスナップショットとして取得しやすくなります 。

LWRサイトへの影響

これにより、AIがユーザーの質問に対して回答を生成する際、あなたのLWRサイトの情報を正確に引用・参照する可能性が高まります。

  • 設定方法: Experience BuilderのSEO設定で「AIボットによる要求時に公開サイトページのスナップショットを提供する(Provide content snapshots of public site pages when requested by AI bots)」を有効にするだけです 。
  • 戦略的価値: 「リンクのランキング」を競うSEOから、「回答の引用」を獲得するGEOへ。LWRサイトはAI検索エンジンの信頼できる情報源としての地位を確立できます 。

16種類の標準コンポーネント追加:開発工数の大幅削減

LWRサイトの構築において、これまで「標準コンポーネントが少ない」ことが課題でしたが、Spring ’26でその状況が一変します。16種類もの標準コンポーネントが新たに追加され、コミュニティライセンスがないOrgでも利用可能になります 。

追加される主なコンポーネント

  • レイアウト・構造: Grid, Overlap, Site Header, Horizontal Line
  • コンテンツ表示: Banner, Card, Text Block, Tile, Image, Video
  • ナビゲーション・アクション: Navigation Menu, Button, Actions Bar
  • データ・プロセス: Record List, List, Flow

これにより、これまでLWC(Lightning Web Components)でカスタム開発していた多くのUIパーツが、ドラッグ&ドロップだけで実装可能になります。特に「Flow」や「Record List」が標準化されたことで、業務プロセスの組み込みが格段にスムーズになります。

HTMLエディタの劇的な仕様拡張

LWRサイトでの表現力を高めるために、HTMLエディタコンポーネントで許可されるタグと属性が大幅に拡張されました 。

具体的な拡張ポイント

  • セマンティックHTML: article, section, header, footer, main, aside など、文書構造を明確にするタグが利用可能になり、アクセシビリティとSEO(およびGEO)が向上します。
  • リッチメディア: audio, video, canvas, svg などがサポートされ、より動的な表現が可能になります。
  • アクセシビリティ: aria-* 属性のサポートにより、スクリーンリーダー対応などのアクセシビリティ要件(WCAG)を満たしやすくなりました。

開発者向け機能:カスタムプロパティタイプがGA

LWC開発者にとって朗報なのが、カスタムプロパティタイプとエディタ(Custom Property Types and Editors)の一般提供開始(GA)です 。

  • 何ができるか: Experience Builderのプロパティパネルで、標準のテキストボックスやチェックボックス以外の、リッチな入力UI(独自の色選択、画像ピッカー、複雑なJSONデータのビルダーなど)を開発者が作成・提供できます。
  • LWRでの利点: LightningTypeBundle を使用して定義することで、サイト管理者(Admin)にとって直感的で使いやすい設定画面を提供でき、コンポーネントの再利用性が高まります。

その他の重要なUXアップデート

セッションタイムアウト時の挙動改善

LWRサイトにおいて、認証済みユーザーがセッションタイムアウトした際、これまではホーム画面に戻されていました。Spring ’26からは、再ログイン後に「見ていた元のページ」に戻るよう改善されます。地味ながらユーザー体験(UX)を大きく損なっていた挙動の修正です

レコード承認(Request Approval)コンポーネント

サイト上からレコードの承認申請を行うための標準コンポーネントが追加されます。これにより、パートナーや顧客が関わる承認フローをLWRサイト上で完結させることが容易になります

パーソナライズコンポーネント

「保留中のタスク(Pending Task)」バナーや「活動タイムライン(Activity Timeline)」など、ユーザー個々のアクションを促すコンポーネントが強化され、ポータルとしての機能性が向上しています


まとめ

Salesforce Spring ’26は、LWRサイトが「Auraの軽量版」から「次世代の標準」へと完全に脱皮するリリースと言えます。 特にGEOへの対応は、AI時代のWebサイト運用において避けて通れない要素です。また、標準コンポーネントの大幅拡充は、開発工数を削減し、より本質的なビジネスロジックやAI活用(Agenticな機能)の実装にリソースを集中させることを可能にします。

DXforceでは、今後もLWRサイトの最新実装テクニックを深掘りしていきます。Spring ’26のプレビュー環境で、ぜひこれらの新機能を体験してみてください。

参考URL

Salesforce Spring ’26 Release Notes

DXforceの管理人

福島 瑛二

2013年にJavaエンジニアとしてのキャリアをスタート。2019年にSalesforceと出会い、Salesforceエンジニアの道へ。

デザインや UI/UX の観点からもシステムを捉え、ユーザーにとって心地よい体験を実装することにやりがいを感じています。

CRM(顧客データ)や Data Cloud と連携した高度なサイトを目に見える形で表現できる Experience Cloud に大きな可能性を見出しており、バックエンドのデータ構造とフロントエンドの表現力を極めることがこれからの Salesforce エンジニアに求められるスキルだと確信しています。

Trailblazer: efukushima

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