【必読】なぜ今、Aura ではなく LWR を選ぶべきなのか?

【初心者向け】Salesforce LWRとは? Experience Cloudの次世代ランタイムを徹底解説

「Experience Cloud でサイトを作るなら、これからは LWR 一択」

最近、Salesforce 界隈でこのような声を耳にすることが増えていないでしょうか?

今まで Aura フレームワーク(「カスタマーサービス」や「Partner Central」のテンプレート)でサイトを構築してきた管理者やデベロッパーの方々にとって、LWR (Lightning Web Runtime) は「何が違うのか」「なぜ移行が必要なのか」が見えにくい部分があるかもしれません。

この記事では、Salesforce の次世代サイト構築エンジンである LWR について、その定義から Aura との決定的な違いまで、技術的な背景を交えて解説します。

LWR (Lightning Web Runtime) とは?

LWR (Lightning Web Runtime) とは、Salesforce Experience Cloud 上で動作する、圧倒的なパフォーマンスと柔軟性を備えた次世代の Web サイト実行基盤(ランタイム) のことです。

一言で表すと、「Lightning Web Components (LWC) を最も高速かつ効率的に動かすために、ゼロベースで設計された専用エンジン」 です。

これまでの Experience Cloud(Aura サイト)は、Salesforce の内部管理画面と同じ重厚なフレームワークを流用していましたが、LWR は一般公開されている Web サイト標準の技術(Web Components, Node.js ベースの配信など)に準拠して作られています。

LWR が注目される背景

2026年現在、Web の世界では「ページの表示速度(Core Web Vitals)」が SEO やユーザー体験に直結する最重要指標となっています。
従来の Aura フレームワークは多機能である反面、JavaScript の読み込み量が多く、初期表示が遅いという課題がありました。これを解決し、「0.1秒でも速く表示する」 ために生まれたのが LWR です。

Aura サイトと LWR サイトの決定的な違い

既存の Aura サイトと LWR サイトの違いを理解するには、以下の比較表を見ると分かりやすいでしょう。

比較項目Aura (従来のサイト)LWR (次世代サイト)
アーキテクチャAura Framework (重厚・多機能)Lightning Web Runtime (軽量・高速)
開発言語Aura Components & LWCLWC (Lightning Web Components) のみ
表示パフォーマンスクライアントサイドでの処理が多く、やや重い極めて高速 (サーバーサイドレンダリング対応により爆速化)
セキュリティLocker Service (厳格すぎる制限)Lightning Web Security (LWS) (標準準拠で柔軟)
SEO 強度弱い (クローラーが JS を解釈する必要あり)最強 (完全な HTML をサーバーから返却可能)
主な用途複雑な社内ポータル、既存資産の維持コーポレートサイト、EC、会員ポータル全般
DXforce Point for Developers

LWR サイトの開発では LWC を作りましょう。
LWR は「Aura コンポーネント」を一切サポートしません。LWR サイトで開発を行う場合は、100% LWC で実装する必要があります。これは、レガシーな技術的負債を断ち切り、Web 標準へ準拠するための仕様です。

LWR を採用する3つの技術的メリット

なぜ今、Aura ではなく LWR を学ぶべきなのでしょうか。その理由は大きく3つあります。

圧倒的なパフォーマンスと Experience Delivery

LWR 最大の特徴は軽さです。さらに、Spring ’26 以降の環境では Experience Delivery という新しい配信の仕組みが利用可能です。 これにより、サーバーサイドレンダリング (SSR) が実現され、ユーザーが URL を叩いた瞬間に完成された HTML が表示されます。「Loading…」のスピナーを見続ける時間は、もう過去のものです。

Experience Delivery について詳細は以下の記事をご覧ください。

Lightning Web Security (LWS) による制約解除

Aura サイトでは「Locker Service」というセキュリティ機構により、window オブジェクトの操作やサードパーティ製ライブラリ(D3.js や Chart.js など)の利用に厳しい制限がありました。
LWR で採用されている LWS (Lightning Web Security) は、仮想化技術を用いてこれを解決しています。Google Analytics のタグ埋め込みや、モダンな UI ライブラリの導入が、通常の Web 開発と同じ感覚で行えます。

開発者体験 (DX) の向上

LWR は構造がシンプルです。例えば、URL のルーティングやデータバインディングの挙動が Web 標準に近いため、Salesforce 独自のクセに悩まされることが減ります。

以下は、LWR サイトで動的な表示切り替えを行う LWC のコード例です。非常にシンプルに記述できることがわかります。

// userProfileCard.js
import { LightningElement, api, wire } from 'lwc';
import { getRecord } from 'lightning/uiRecordApi';
import USER_ID from '@salesforce/user/Id';

export default class UserProfileCard extends LightningElement {
    userId = USER_ID;
    userName;
    isPremiumMember = false;

    // ユーザー情報を取得
    @wire(getRecord, { recordId: '$userId', fields: ['User.Name', 'User.Grade__c'] })
    wiredUser({ error, data }) {
        if (data) {
            this.userName = data.fields.Name.value;
            // ランク判定ロジック
            this.isPremiumMember = data.fields.Grade__c.value === 'Premium';
        } else if (error) {
            console.error('ユーザー情報の取得に失敗しました', error);
        }
    }
}
<template>
    <div class="container">
        <template lwc:if={isPremiumMember}>
            <div class="badge-gold">Premium Member</div>
            <h1>ようこそ、{userName} 様</h1>
            <p>特別オファーがございます。</p>
        </template>
        
        <template lwc:else>
            <div class="badge-standard">Standard Member</div>
            <h1>こんにちは、{userName} 様</h1>
            <p>プレミアム会員へのアップグレードはいかがですか?</p>
        </template>
    </div>
</template>

LWR で利用できるテンプレートの種類

LWR を始める際、以下の3つのテンプレートから選択することになります。

  1. Build Your Own (LWR)
    • 概要: 最も基本的なテンプレート。最小限のページしか含まれていません。
    • 用途: 完全に独自のデザインでサイトを作りたい場合や、SPA (Single Page Application) を構築する場合。開発者が主導するプロジェクト向け。
  2. マイクロサイト (LWR)
    • 概要: LP(ランディングページ)やイベント告知サイト向け。
    • 用途: リード獲得フォームを設置して、短期間で公開するサイトなどに適しています。
  3. B2B / D2C Commerce (LWR)
    • 概要: EC サイト構築用の高機能テンプレート。
    • 用途: 商品一覧、カート、決済フローなどが標準で用意されています。従来の Aura 版 Commerce テンプレートよりも圧倒的に高速です。

よく使うことになる Build Your Own (LWR)マイクロサイト (LWR) の使い分け方法は以下の記事をご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q
プログラミングの知識がなくても(ノーコードで)LWRサイトは作れますか?
A

はい、基本的には可能です。

LWRサイトでも、従来のAuraサイトと同様に「エクスペリエンスビルダー」を使用して、ドラッグ&ドロップでコンポーネントを配置し、ノーコードでサイトを構築できます。
ただし、LWRは「カスタマイズの自由度」に重きを置いているため、標準で用意されているコンポーネントの数がAuraに比べるとまだ少ない傾向にあります。
そのため、「自社独自の複雑な機能」を実装したい場合は、開発者による LWC (Lightning Web Components) のコーディングが必要になる場面が多くなります。

Q
具体的にどのようなサイトを作るのに向いていますか?
A

「圧倒的な表示速度」と「洗練されたUI」が求められるサイトに最適です。

例えば、以下のようなユースケースでLWRの真価が発揮されます。

  • B2C / D2C向けのECサイト: ブリティッシュ・ティーなどのブランドの世界観を表現しつつ、サクサク動くショッピング体験を提供するサイト。
  • 高度な検索ポータル: B2Bの不動産検索や製品カタログなど、ユーザーが条件を絞り込んで素早く結果を表示させたいサイト。
  • 一般公開向けのコーポレートサイト・LP: SEO(検索エンジン最適化)が重要になるマーケティング用ページ。

逆に、標準の Chatter(フィードやグループ機能)を多用するような、社内向けの保守的な情報共有ポータルには不向きです。

Q
既存のAuraサイトをLWRにそのまま移行(変換)することはできますか?
A

残念ながら、ボタン一つでの自動変換はできません。

AuraとLWRでは根本的なアーキテクチャ(裏側の仕組み)が全く異なるためです。
LWRへ移行する場合は、新規でLWRテンプレートを選択してサイトを立ち上げ直し、ページを再構築(リビルド)する必要があります。
また、Aura向けに開発した独自コンポーネントはLWRでは動作しないため、すべてLWCで書き直す必要があります。

まとめ:いつ LWR を使い始めるべきか?

答えは 「今すぐ」 です。

これから新規で Experience Cloud サイトを構築する場合、特段の理由(例えば Chatter フィードの複雑な機能が必須など)がない限り、LWR がデフォルトの選択肢となります。

Salesforce の開発ロードマップも LWR に全振りしており、最新機能である AgentforceData Cloud との連携も、LWR 環境で最もスムーズに動作するように設計されています。

まずは開発環境(Sandbox)で「Build Your Own (LWR)」テンプレートを選択し、その軽快な動作を体感してみてください。

さらに詳しい比較を知りたい方へ

LWR と Aura のアーキテクチャレベルでの詳細な違いや、技術的な意思決定基準については、以下の記事で徹底的に解説しています。 👉 Salesforce LWRとは? Auraとの違いとExperience Cloudで採用すべき決定的理由【徹底比較】

DXforceの管理人

福島 瑛二

2013年にJavaエンジニアとしてのキャリアをスタート。2019年にSalesforceと出会い、Salesforceエンジニアの道へ。

デザインや UI/UX の観点からもシステムを捉え、ユーザーにとって心地よい体験を実装することにやりがいを感じています。

CRM(顧客データ)や Data Cloud と連携した高度なサイトを目に見える形で表現できる Experience Cloud に大きな可能性を見出しており、バックエンドのデータ構造とフロントエンドの表現力を極めることがこれからの Salesforce エンジニアに求められるスキルだと確信しています。

Trailblazer: efukushima

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