【必読】なぜ今、Aura ではなく LWR を選ぶべきなのか?

【徹底比較】もはや「選択」ではない。Experience Cloud で Aura ではなく LWR を採用すべき決定的な理由

この記事はバージョン Spring ’26 において執筆しています。
現在の動作と異なる場合がありますので、ご認識おきください。

2026年を迎えた私たち Salesforce エンジニアやアーキテクトは、Experience Cloud の歴史の中で最も重要な転換点を迎えています。

これまで、Experience Cloud のサイト構築には「Aura」と「LWR (Lightning Web Runtime)」という2つの選択肢があり、「機能の豊富さなら Aura、軽さなら LWR」という住み分けがされてきました。

しかし、Spring ’26 のリリースにより、その常識は完全に過去のものとなりました。 結論から申し上げます。これからの新規プロジェクトにおいて、LWR はもはや「実験的な次世代オプション」ではなく、「唯一の合理的選択肢」です。

なぜそこまで言い切れるのか? Aura を選ぶことは何がリスクなのか? Spring ’26 時点の最新アーキテクチャ(Experience Delivery, Agentforce)に基づき、その決定的な理由を解説します。

なぜ Aura ではダメなのか?「System of Action」への進化

これまで Salesforce は「System of Record(記録のシステム)」として機能してきました。しかし、Winter ’26 で Salesforce は 「System of Action(行動のシステム)」 へと進化しました。

その最前線にあるのが Experience Cloud です。サイトは単に「情報を表示する場所」から、「AI エージェント(Agentforce)が顧客の代わりに業務を完遂する場所」 へと役割を変えています。

この変化において、2013年に設計された Aura フレームワークは、明確に「メンテナンスフェーズ」に入りました。

  • 重厚な JS ランタイム: AI の推論速度に画面描画が追いつかない
  • レガシーなインフラ: Email-to-Case の厳格な制限(日次250通)などが始まり、古い運用からの脱却が求められている
  • 技術的負債: 複雑化した依存関係が、将来的な移行の足かせになる

今 Aura でサイトを作ることは、初日から技術的負債を抱えることと同義です。

LWR を選ぶべき3つの技術的革新

LWR が「唯一の選択肢」となった背景には、Winter ’26 で完成の域に達した3つの技術的ブレイクスルーがあります。

① Experience Delivery (SSR) による爆速パフォーマンス

これまで LWR への移行を躊躇させていた要因の一つに「SEO と初期表示速度」がありました。しかし、Winter ’26 で一般提供(GA)または安定稼働フェーズに入った Experience Delivery がすべてを解決しました。

  • サーバーサイドレンダリング (SSR): Node.js ベースのランタイムが、サーバー側で HTML を完成させてからブラウザに送ります。
  • Core Web Vitals の劇的改善: ユーザーは「白い画面」を見ることなく、即座にコンテンツを目にできます。
  • SEO 最強: Google のクローラーに完全な HTML を提供できるため、検索順位においても Aura とは比較になりません。
指標Aura (CSR)LWR (SSR)
LCP (表示速度)2.5秒 〜 4.0秒0.8秒 〜 1.5秒
モバイル体感もっさり感があるネイティブアプリ並み

Experience Delivery とは?

Experience Delivery は、従来のクライアントサイドレンダリング(CSR)に代わり、SSR(Server-Side Rendering)と専用CDNを組み合わせた新しい配信基盤です 。

② Agentforce との「会話」を実現する軽量アーキテクチャ

新機能 Agentforce Attach により、ポータルサイトには「検索窓」ではなく「自律型 AI エージェント」が常駐するようになります。

AI との対話はリアルタイム性が命です。Aura の重い双方向データバインディングは、この対話の遅延原因となります。一方、Web 標準に準拠した LWR は、Data Cloud 上のコンテキストを瞬時に解釈し、エージェントの思考速度に合わせて UI を更新できます。

「AI 時代のポータル」を作るなら、土台は LWR しかあり得ません。

③ Data Cloud とのリアルタイム連携

Winter ’26 では、LWR サイトと Data Cloud の統合が強化されました。

サイト訪問者が「ある商品を見た」瞬間、Data Cloud 側でセグメントが更新され、ページのリロードなしに トップページのバナーが差し替わる――そんな動的なパーソナライゼーションが、標準機能(Visibility Rule)で実現可能です。これもイベント駆動型アーキテクチャである LWR の独壇場です。

「機能が足りない」は誤解? 解消されたギャップ

「LWR は機能が少ないから…」という認識は、Spring ’26 の時点ではアップデートが必要です。かつての課題の多くは解消されています。

  • ✅ フロー (Screen Flow) の完全統合かつては制約がありましたが、現在は画面フローが完全にサポートされています。LWC をローカルアクションとして組み込んだり、フロー内で画像を扱ったりすることも、LWR 上で違和感なく動作します。
  • ✅ Lightning Web Security (LWS) の採用Aura の Locker Service とは異なり、LWS はセキュリティを担保しつつ window や document へのアクセスを柔軟に許可します。これにより、D3.js や Chart.js といったモダンな外部ライブラリを簡単に組み込めるようになりました。
  • ✅ B2B/B2C の統合 (Unified Template)コマース領域では「Unified Template」が登場し、B2B と B2C を単一の LWR コードベースで構築可能になっています。

唯一残された「Aura の砦」:Chatter

ただし、一つだけ嘘偽りなくお伝えしなければならない「壁」があります。それは Chatter です。

Aura テンプレートには高機能な「Chatter フィード」コンポーネントが標準装備されていますが、LWR には同等の標準コンポーネントが存在しません(または限定的です)。

Salesforce は、Slack 連携や Agentforce へのシフトを進めており、旧来の掲示板型コミュニケーション(Chatter)を LWR で再現することに積極的ではありません。

  • 「いいね!」「ベストアンサー」「メンション」を駆使したコミュニティサイトを作りたい
  • それを追加開発コストなし(標準機能のみ)で実現したい

この条件に強く合致する場合のみ、Aura が選択肢に残ります。

結論:Spring ’26 以降の意思決定マトリクス

Spring ’26 における、DXforce としての推奨選択基準は以下の通りです。

✅ LWR を選択すべきケース(推奨:デフォルト)

  • 新規構築プロジェクト全般
  • 一般公開サイト(ランディングページ、ヘルプセンター、コーポレートサイト)
  • Agentforce / AI 活用を前提とする場合
  • B2B / D2C コマースサイト
  • パフォーマンスと SEO を重視する場合

⚠️ Aura を選択すべきケース(例外措置)

  • Chatter 機能(フィード、グループ)がサイトの核であり、開発予算がない場合
  • 既に Aura で構築された大規模サイトで、リプレースの ROI が合わない場合(「塩漬け」運用)

編集後記

Aura から LWR への移行は、単なるフレームワークの変更ではありません。

「Web サイト」から、AI とデータが駆動する「デジタルワークスペース」への進化です。Winter ’26 は、そのための準備期間の最終段階であったと言えます。

現状Spring ’26(2026年2月)には Force.com ドメインの完全停止など、レガシー排除の動きはさらに加速しています。

今こそ、技術的負債を生まないための「正しい選択」をしてください。


DXforce Point

参考URL

What Are LWR Sites for Experience Cloud?

LWR Template Limitations

DXforceの管理人

福島 瑛二

2013年にJavaエンジニアとしてのキャリアをスタート。2019年にSalesforceと出会い、Salesforceエンジニアの道へ。

デザインや UI/UX の観点からもシステムを捉え、ユーザーにとって心地よい体験を実装することにやりがいを感じています。

CRM(顧客データ)や Data Cloud と連携した高度なサイトを目に見える形で表現できる Experience Cloud に大きな可能性を見出しており、バックエンドのデータ構造とフロントエンドの表現力を極めることがこれからの Salesforce エンジニアに求められるスキルだと確信しています。

Trailblazer: efukushima

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